GLOE

インタビュー

“好き”に出会ったときの飛び込む勇気と行動力で、eスポーツの可能性を広げる

“好き”に出会ったときの飛び込む勇気と行動力で、eスポーツの可能性を広げる

2018年から「Predator League」を主催し続けるエイサーと、本大会の日本運営を初回から支え続けるGLOE。常に新しいことにチャレンジし続ける日本エイサーの谷さんと、GLOEの中井さん、和田さんにお話を伺いました。

写真左から

・GLOE株式会社 クライアントワーク事業部 マネージャー兼プロデューサー 中井大喬
2016年からRIZeST株式会社(GLOEの前身となる一社)所有の「e-sports SQUARE」にて制作・技術オペレーター業務に従事。その後、RIZeST株式会社でディレクターを経てプロデューサーへ転身。これまでの経験からイベントに必要な業務などの知見を網羅している。この知見を生かし、ゲーム・eスポーツの公式大会・イベント、国体や五輪など公共性の高い国内外の大型スポーツ大会、領域に捕らわれないエンタメイベントの統括に加え、メンバーのマネジメントを行う。

・GLOE株式会社 クライアントワーク事業部 和田英典
2023年4月にウェルプレイド・ライゼスト(GLOEの前身)に新卒入社。大学在学中にeスポーツ大会を観戦し、娯楽として捉えていたゲームに対し出場選手が人生を賭けて挑む姿に感銘を受け、eスポーツ業界で働きたいと決心。入社後は「Predator League」「VALORANT Masters Tokyo Countdown Events」など、競技シーンからストリーマーイベントまで幅広い案件において企画〜実行まで業務全般を行っている。

・日本エイサー株式会社 マーコム&マーケティング部 部長 谷康司
2016年5月より現職。ゲーミングブランド「Predator」の日本展開を担当。その中でeスポーツに精力的に取り組んでいます。


「悪そうなやつがきた」
強烈な出会いから6年、今も続く関係

谷さん:エイサーはPCおよびディスプレイ事業を主軸に、パソコン、モニター、プロジェクター、ゲーミングマウス、キーボードといったガジェットや空気清浄機などの製品を取り扱っています。ゲーマーやクリエイターだけでなく、教育現場などの幅広いニーズに合わせて製品開発をしています。

僕自身の話でいうと、当時、ある格闘ゲームのマーケティング担当をしていた2012年頃だったと思うのですが、EVOを観にいったんです。そこで、会場のどよめき、歓声、ステージの選手の表情など、勝った負けたの世界だけじゃなくて、人の感情が大きく動くこと、熱狂に感銘を受けたんです。「日本でeスポーツ大会を開催したい」「日本でも観てもらえたら、新しい文化、新しいスポーツを作れる」と思ったんです。その後、紆余曲折がありながら、2016年に日本エイサーに入社をしてチャンスが巡ってきました。

中井さん:2018年にRIZeST(GLOEの前身)にお問い合わせをいただきましたよね。当時、僕たちは日本国内の『PUBG』のプロリーグシリーズ「PUBG JAPAN SERIES」の運営を担当していたんですが、それを知ってくださっていたことがきっかけでした。

谷さん:ゲーミングブランド Predatorのブランド名を冠したエイサー主催のeスポーツ大会「Predator League」(※1)は2018年から毎年開催しているんですが、日本予選も急遽実施することになったんです。日本エイサーとして国内で初めてのeスポーツ大会です。ただ、バトルロイヤルゲームの大会を行ったことがなかったので、予算感もルール設計も何も分からない状態で。16チームが戦う上で技術的な障害なども考慮すると、安全に運営できることが最優先事項でした。慣れてる方に話を聞くのがベストと判断し、RIZeSTさんにしか相談しませんでした。すぐに会いに来てくれましたね。

中井さん:当時の担当者の印象も強烈だったとか(笑)。

谷さん:「悪そうなやつがきたな」と思いましたね、金髪で目つきが悪かったので(笑)。でも、話してみるとゲーム自体の説明から「どんなことを考えているか」「どんな風にしていきたいか」といったヒアリングまで丁寧に対応してくれたのでそのギャップにやられました(笑)。

中井さん:当時『PUBG: BATTLEGROUNDS』の大会運営を担っていたのがRIZeSTだけだったこともあり、培ったゲーム理解や知見を生かして成功させようという気概に溢れていました。

谷さん:初開催も無事終えて、それからGLOEさんとお付き合いさせていただいています。年に1回の大会なので「同じことをやりたくない」「毎回新しいことを1つやろう」と考えていることを共有していて、毎年全力で答えてくれています。

GLOEさんだったら、この担当者さんだったらなんとかしてくれそう、どうにかなるんじゃないかという信頼があります。クライアントがいうことをそのまま実践するエージェントを僕は求めていません。「もっとこうしたほうがいい」「予算は追加になるが絶対にこれをしたほうがいい」といった風に、「Predator League」を一緒に考えてくれる人と一緒に仕事がしたいと思っています。

(※1)Predator Leagueとは
エイサーがゲーミングブランドPredatorを通じて、APAC圏(アジア太平洋)におけるゲーミング産業の発展と普及を目指して開催している国際eスポーツ大会。

数字では表せられない価値がeスポーツにはある
そのために必要なことは積極的に関与すること

谷さん:eスポーツを活用した中長期的なマーケティングをしていきたいと考えるようになり、2020年度から「Predator League」の開催に合わせるように、PUBG JAPAN SERIES」に協賛をしたり、第二回「Predator League 2019 Japan Round」で優勝したプロゲーミングチーム「SunSister」のスポンサードを開始したり、様々な大会やイベントに伺い様々な企業さんにご挨拶して回りました。丁度コロナが始まりオンラインでの大会が主流になる年でしたが、水面下で活動をつづけました。

企業によってはeスポーツをよく分からないという方も競合メーカーの方も様々でしたが、一企業にできることには限りがあると思うんです。お互いに知見を共有することで「一つのシーンをみんなで応援しよう!」という業界を超えた熱量が、たしかにそこにはありました。多方面でビジネスライクを超えた強固な関係値を着実に築いていけたように思います。『PUBG: BATTLEGROUNDS』を通して本当にたくさんの方々と知り合えましたし、今の僕たちが存在している大きな理由だと思います。

eスポーツシーンにおいて、視聴数や来場者数といった数字で測ることができない世界をeスポーツで創ることができると信じています。それを創るために自分たちが積極的に関与していかないと、実現できることもできないですし、伝わらないと思っています。

中井さん:数字を意識することはもちろんですが、それ以上に僕たちは出場者や来場者、視聴者含め魅力だったり共感できるコンテンツ作りにこだわっています。ここをしっかりとやりきることで実際インフルエンサーさんから「Predator League」のミラー配信をしたいというお声がけをいただいたりと結果的に数字にも繋がったりします。

また、本番中に映像なしで大会を観戦しながら配信してくださっていたインフルエンサーさんを見つけたので『ぜひ本配信の映像使ってください』と直接お声がけさせていただいたりとみんなで盛り上げていこうという気持ちで取り組ませていただいています。

和田さん:パブリックビューイングのご相談をいただいたこともありましたよね。

谷さん:「Predator League」では【#戦いたいやつ全員集まれ】をずっと発信し続けています。プロだろうがアマチュアだろうが、出場できる大会です。トップチームは日頃から露出が多いですし人気もありますが、まだスポットライトが当たっていないチームでも誰にでも勝つチャンスがある。蟻が象を倒すように明日のスターが生まれるチャンスがあります。そのチャンスを自分たちの努力で掴んでほしい、そのきっかけになりたいという想いを込めて、毎年開催しています。

もちろん公式大会との差別化という観点もありますが、ゲームを通して勝ち負けがつく過程で、笑いあり涙ありの感情に訴えかけることがしたいという想いが根底にあります。

「数字よりも深さに投資したい」

最初からずっとこの想いを抱いていました。

中井さん:2018年のeスポーツ元年を経て、多種多様な企業様がeスポーツに関わるようになりましたが、ベースとなる環境の提供が出来ているのかなと実感できるシーンが多くあります。

谷さん:年々環境が整っていることもありますが、やっぱりeスポーツの世界で積極的に頑張ってきた先人がたくさんいらっしゃったからだと思います。ゲーム・eスポーツへの熱量の高さで、結果は全然異なるとずっと思っています。できては消えるコンテンツを繰り返すだけではなく、前に進む、進化する、そして人の記憶に残るeスポーツを創造し続けたいと思っています。

仲間と共に「いいもの」を届けるということ

和田さん:谷さんの熱量は現場でも常に溢れ出ていて。常に現場にいらっしゃることは当たり前で、ご自身の業務範囲以外のことも率先して対応していらっしゃるので、いつ休んでるんだろうと心配になるほどです。全てのインタビューに立ち会ったり、本来チームが用意する書類の対応をしていたり。「The Asia Pacific Predator League 2024 Grand Finals」の主催国がマニラで日本は参加国の立場でしたが、谷さんはチーム・選手にとって必要・重要なことをどんどん交渉していましたよね。

谷さん:主催国と参加国という切り分けや、「ルールだからこれを守れ」と押し付けるのが嫌なんですよね。大会はみんなで作るものだと考えているので、感じたことは全て伝えていました。自分がいるシーンにハマって一緒にやることが重要だと思います。せっかくやってるのだから、自分たちのノウハウも経験も貯まるし、見てくれている人に「熱心だよね」「面白いよね」と思ってもらえるものを届けられたらいいなと。僕は日本エイサーの人間なので、何をやっても製品を購入いただくことが最終ゴールではありますが、遠回りだとしてもやらないと意味がないことだと思っています。

そんなことを言いながら、和田さんのマニラでの立ち回りに僕も驚かされたんですよ。何も言っていないのに、自主的に事前に会場を確認しに行ってくれるなど、「そこまでしなくても」をやってくれましたよね。今までそんな人はいませんでした。

マニラ会場で肩を組んで写真を撮る和田さんと谷さん

中井さん:その話を聞いた時はすごく嬉しかったです。パッション溢れる谷さんのエッセンスを知り、学んでほしいと思って「Predator League」のメンバーにアサインしましたが、和田の成長を日々実感しています。

谷さん:GLOEさんは一緒にeスポーツの世界を広げていけるパートナーだと思っています。僕たちの予算に対して最大限のことをやってくれるという信頼感や、ビジョンを理解してくれている人が一緒に取り組んでくれる安心感は、これまで続いた関係値の中で間違いなくあります。

和田さん:そう仰っていただけて嬉しい限りです!制約が多いことが普通ですが、谷さんからNOと言われたことがないんです。そのおかげもあって、あれもやりたいこれもやりたいというアイデアが湧いてくるんですよ。マニラへ出発する前に、時間も予算も限りがある中で出場選手を応援できることは何かないかという話から横断幕を作りましたよね。SNSで応援メッセージを集めて選手と一緒に写真を撮影しませんかという提案を即採用してくださって。新しい、面白いと思うことは全部採用してくださる度に、信頼していただけているんだと実感します。

中井さん:谷さんは、僕ら制作会社に「やってくださいね」ではなく一緒にチャレンジしてくださいます。僕らも意思をもって「こうしたい」「あーしたい」を持って向き合えますし、イベントを作る一番楽しい部分をいつも思い出させてもらえます。経験することで本質的な楽しさを感じさせてもらってるように感じます。

ファンからの応援メッセージが書かれた横断幕を掲げる、 日本代表の「REJECT May」「FAV gaming」の選手たち

それぞれが描く「新しい」「面白い」未来

和田さん:僕の一つの目標でもある「自分たちの色」「僕個人の色」「GLOEの色」を出せるような制作をしたいです。eスポーツの大会やインフルエンサーイベントは似たようなものが増えているように感じているので、GLOEがやるから別角度で面白いとか、TVみたいに「あのプロデューサーがやってるから面白いよね」みたいなものをeスポーツ業界でも実現したいなと思っています。

中井さん:今やらせていただいている仕事は、同じことが二度と起こることはないと思って毎回取り組んでいますし、一緒に作り上げてくれる方々と常にチャレンジし続けることで、同じことができない面白さを感じています。+1をすることで新しくなるということは、無限の面白さが広がっているということ。イベント・大会制作以外の分野でも、これまでの知見を生かして人に面白いことを届けていきたいです。人と人との関わりでこの仕事ができているので、谷さんとだから、和田さんとだから、のような関係をこれからも作り続けたいです。

谷さん:「Predator League 日本予選」では、協賛金ではなくグッズなどを提供していただいています。新しいことにチャレンジしたり、eスポーツにチャレンジしたいという企業様がいらっしゃれば是非お声がけください。僕が“好き”なことに出会えたのはラッキーかもしれませんが、出会ったときにそこに飛び込む勇気や行動力が一番大切だと思います。考えている暇があれば動けばいいし、それを続けるからこそ見れる世界があります。毎日の積み重ねなんですよね。eスポーツってそういう世界だと思います。未来は今までの延長線上にありますが、終わったことは思い出にして新しいことをしていきたいと考えています。「Predator League」は継続しますし、来年も開催します。これまでがバージョン1.0だとしたら、全力投球で来年は2.0にしたいですね。


「Predator League」を通したそれぞれの熱量や行動に移す力。
立場関係なく“仲間”としてどんな壁にも立ち向かう力。
そして描いた未来を実現する力。

三者三様の考え方がありますが、「パートナーとして一緒に成功させたい」という共通の強い想いを感じました。今後の「Predator League」もますます楽しみです!

GLOEでは、eスポーツイベント制作を中心に、国内外でゲームを通じたコミュニケーションを活性化するサービスを展開しています。ゲーム・eスポーツ関連のサービスやイベントを検討中の方は、お気軽にご相談ください。
https://gloe.jp/contact/

■関連リンク
・日本エイサーHP:https://www.acer.com/jp-ja
・Predator日本公式X:https://x.com/PredatorJPN?s=20
・「The Asia Pacific Predator League 2024 Grand Finals」GLOE実績ぺージ:https://gloe.jp/works/2024_predatorleague2024/

取材・筆:GLOE株式会社 広報室 広報室長 金田裕理