GLOE

インタビュー

【後編】eスポーツの可能性は無限大。eスポーツが当たり前に価値あるものとされる世界を作る。

【後編】eスポーツの可能性は無限大。eスポーツが当たり前に価値あるものとされる世界を作る。

eスポーツプロジェクトを立ち上げた際にご相談いただいたご縁から、「TOPPA!!!TOPPAN FESTIVAL 2024」などを共に作り上げてきたTOPPANとGLOE。TOPPNA eスポーツプロジェクトの原田さんと園部さん、GLOEの谷田さんにお話を伺いました。

写真左から
・TOPPAN株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ソーシャルイノベーションセンター シニアアドバイザー 兼 eスポーツプロジェクト エグゼクティブプロデューサー
 原田香織さん
・GLOE株式会社 代表取締役
 谷田優也さん
・TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメンションセンター データ&テクノロジー本部 システムインテグレーション部 2T 課長 兼 eスポーツプロジェクト
 園部英一郎さん

楽しいや嬉しいが生み出す “夢中の景色” が、成長や自信に繋がる

原田さん:前編でeスポーツプロジェクトを2018年8月に立ち上げたとお話しましたが、その後、電通グループと共に、eスポーツ事業に参入したい企業とすでに参入している企業のビジネスマッチングの機会を提供する「eSPORTS TRINITY」を2019年10月23日に実施しました。第一部ではeスポーツの現在と未来を考えるビジネスセミナーとパネルディスカッション、第二部では社会人アマチュアeスポーツプレイヤーを対象とした企業対抗戦「AFTER 6 LEAGUE」を行いました。

「eSPORTS TRINITY」のイベントの様子のお写真

谷田さん:「AFTER 6 LEAGUE」で優勝したのがGLOEの社員だったんですよね。

原田さん:そうですね!エキシビションマッチも実施しましたが、そこに登場したのもGLOEさんの別の方でした(笑)。

「AFTER 6 LEAGUE」はその後スピンアウトというかたちで2020年より社会人eスポーツリーグとして定期開催をしております。当社のeスポーツ事業は社会人リーグをベースに、専門学校との共催イベント、大学生のeスポーツサークルと社会人交流イベント、小学生と保護者のデュオイベントなども行っています。最近では、園部さんが弊社の教育ICT部門に所属していたので、教育×eスポーツのコンサルタントや実証実験などにも着手しています。

GLOEさんは大きな興行やイベントも行っていますが、TOPPANの手掛けるeスポーツ事業は自社のBtoBビジネスにアドオンしたeスポーツの利活用と周辺市場の開拓といった草の根活動をしています。eスポーツど真ん中というより、周辺市場を狙って、eスポーツ業界と直接関係ない企業や自治体にeスポーツを活用したよりよいサービスを提供したいと考えています。

谷田さん:GLOEも昨年5月にビジョン・ミッションを刷新して、周辺事業も行っていこうとしています。コミュニケーションツールとしての有効活用だったり、何かの学びやきっかけになるようにゲームを活用できると信じています。

秋田県に平均年齢67歳の「マタギスナイパーズ」というチームがありますが、シニアのプロチームってすごいですよね。高齢者向けのゲーム活用という観点で考えたときに、その方たちが過去に経験したゲームや日常にあるものに紐づいたゲームが選ばれそうな中、「VALORANT」をプレイされています。手を動かしたりコミュニケーションをとるというリハビリもありますが、しんどかったり辛かったりすることもあると思うんです。それをゲームの力で突破できればいいなと思っていますし、そういう時代が身近にきていると思うと勇気が湧きますね。

原田さん:何かをするときのきっかけや達成感があればやる気が出ますよね。教育面でも、子どもたちがプログラミングを学ぶときにモチベーションになるものがゲームやeスポーツにはあると思います。

園部さん:教育の転換という取り組みを行っている中で感じるのは、ゲームはエンタメとして楽しめるということに加えて、目標設定が簡単で共通化しやすいですよね。今の世代の教育現場での課題は、課題そのものを自分事化できなかったり、社会課題や自分の生活などを自分事化することが難しいことだと思います。でも、ゲームやeスポーツを通すと自分事化できるんですよね。課題抽出と解決にフォーカスした活動ができるので、題材として活用したいと考えています。

谷田さん:抽象度が高くなりがちな物事に対して、「明確にこれをクリアするといいよね」というのが分かる目標設計のしやすさがゲームのいいところです。その中の要素が言語化できたり指標ができるといいなと思います。

ベネッセさんが小学1〜6年生向けにポケモンユナイトなどのゲームで楽しくプレイしながら論理的思考力やコミュニケーション力を身につけられるサービスを行っていますが、既存の領域に異なる領域を掛け合わせた学び方というラインナップもあります。教育にずっと向き合ってきたベネッセさんが有効活用できるイメージをもってサービス化していることは大きな希望を感じますね。

原田さん:ゲームプレイを続ける中でも、強くなるために分析もする人、上手に指示が出せるようになる練習をする人など様々います。例えば指示を出す人は自然とリーダー研修になっているんじゃないでしょうか。配信をやってきた方はITリテラシーが高い人が多いかったり、動画を編集して発信している人はadobeのソフトはほぼ使えたり機材も詳しかったり、ゲームを通して学ぶことで、多くの企業が採用したいと思うスキルを備えた即戦力が多いように感じます。

谷田さん:夢中の景色というか、自分がやりたいことを実現するために必要な力だったり実現に向かうための力だからこそ、本来難しかったりハードルが高いように感じることも軽々こえられるんだと思います。

原田さん:嫌々覚えなきゃいけないというのがないんですよね。毎日自分がやりたいことをやるための時間を捻出する時間管理も含めて、凄いことをやってるなと思います。

谷田さん:やったことがないことって、成功体験がないとハードルが高くなりがちですが、ゲームは大体やったことがないことなんですよね。「とりあえずやってみるか」から、まあまあ難しいことをやらされることに対して「なんとなくできた」みたいなことが起こります。本人の自覚とは別のところで未経験の領域にタッチして成功体験を積んだり味わうハードルが低い。色んなことにチャレンジするきっかけにもなると思います。

ビジネスをする中でずっと共通しているのは、成長は決断の数だと思っています。決めたことがある回数が多い人ほど成長の速度が早い。周りを巻き込んだり会社や事業単位で決めたという決断が経験値を生んだ瞬間になります。ゲームは、与えられた選択肢の中から自分で選んで正解を見つけることも、間違えたらもう一度チャレンジすることもできます。ポジティブな錯覚に陥らせることができるんですよね。

原田さん:高校生が社会人と対等に話したり相談することがゲームの世界では当たり前というのも面白いですよね。

世の中が共通して「価値がある」とする物事にeスポーツが採用される機会を創出

園部さん:公共性の高い国内外の大型スポーツイベントでeスポーツが採用されることで権威が作られ、職業として認められ、スポーツとして認知されることを期待しています。真剣に取り組んでいる人たちが多方面で認められて広がっていくゲームとスポーツのメソッドに、ビジネスとして関わっていけたらいいですね。

原田さん:TOPPANは、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」のオフィシャルパートナーでしたし、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」にも協賛していますが、eスポーツが何らかの形で採用されてほしいと思いますし期待しています。スポーツ選手の中にもゲーム好きな方は多いんです。世代を超えて面白がってくれる人が増えるといいなと思います。

『凸版印刷、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に協賛』のニュース記事
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2023/01/newsrelease230118_1.html

谷田さん:スマホを持ち始めてから全人類オタク化が進んだことで、興味がなければ深入りしないが、好きなことにはめちゃめちゃハマってる人がいてそこに同じ好きを持った人が集まっている。そういう熱量が至るところで生まれています。理解のある大人たちを増やすことすら、もはや気にしなくてもいい世界がくるのかもしれません。

「オリンピックeスポーツウィーク」、サウジアラビアの「ゲーミング&eスポーツ地区」建設や賞金総額約93億円の「eスポーツワールドカップ」開催など、ゲームに投資されている事実が価値を作っています。のめり込んでいる数万人、数十万人がいるという事に対して、世の中が共通して価値があるとする物事に採用されることに価値があると信じています。

GLOEが上場したのも、「ゲーム開発ではなくゲームを活用した事業を展開している会社が上場した」とか「eスポーツ専業会社が上場した」ことで、ゲームやeスポーツに興味がなくても上場することの難しさを知っている人がこんな世界があるんだと知ってくれることに価値があると考えて上場しました。「鶏が先か、卵が先か」でいうと、両方をやる必要があるように思います。これからもそういう機会を創出していきたいですね。

リクルーティングにも効く、eスポーツへの理解と活用

原田さん:「なにそれ?」と言われたeスポーツ市場から、上場企業が生まれたことは本当に日本のeスポーツ業界の希望でした。TOPPANで毎年行っている「AFTER 6 LEAGUE」の出場企業も、地方自治体や有名企業が年々増えてきています。会社に許可をとってロゴを出して会社名で出場するというのは社名を背負うこと。色んな企業が出場していいよという世界になったように思います。

谷田さん:例えば就職先を探している学生が企業研究をする中で、出場することを許してくれる会社なんだと思ったらイメージが変わりますよね。

原田さん:会社の魅力を上げたり良い人材を採用するといったリクルーティングの意味でも効いているように感じます。

谷田さん:ゲームが優秀かどうかではなく、優秀な方が会社を選ぶ中でゲームに理解があることが良いイメージになって選択肢が増えるというアップデートが本当に必要だと思うんです。自分が好きなことを肯定してくれる会社かどうかは大きな指標になるはず。同じ事業領域の競合企業も受けてるけど、「この会社がいい」という理由になりますよね。

eスポーツが特別じゃなくて当たり前にある世界を作る

原田さん:eスポーツプロジェクトを立ち上げて5年半が経ち、やっと方向性がみえてきました。それがBtoBでeスポーツをアドオンしていくことで自分たちの事業に付加価値が付けられるということです。様々な企業と連携することで、新しいことを一緒にやっていく仲間がほしいですね。

園部さん:eスポーツの部署をつくるという話をずっとしてきましたが、プロジェクトでよかったと今は思っています。eスポーツを売り物にしたいわけじゃなくて、効果を目的に商材を作りたいんですよね。インフラとしてのeスポーツをずっと多角的にみながら活動してきたので、活用の幅がでてきたように思います。

原田さん:自由に動きやすいですよね。長く続けたいです。

園部さん:私自身、マジック:ザ・ギャザリングを20年以上プレイしているので、そのコミュニティがとても大事なんです。そういう文化圏の人にずっと楽しんでいただけるような社会を作れたらと思っています。

谷田さん:ゲームが好きでよかったと思える人を増やしたいですね。決して押しつけがましくならないよう、効果を実感する人が増えるといいなと。医療や教育など有効活用できる事例を増やすことで導入のハードルを下げていく。当たり前にあっていいことの軸になると思うんです。

原田さん:特別じゃなくて当たり前にあるってことですよね。押し付けるんじゃなくてそこに普通にあるみたいな世界を作りたいなと思っているし、作りたいです。世界はすごくそうなっていて、日本もつくるとしたらGLOEさんを中心についていきたいです。

対談後に「ストリートファイター6」の対戦をする谷田と園部さん


eスポーツに可能性を感じ、それぞれがそれぞれにできることを続けてきたTOPPANとGLOEが信じる未来のお話にわくわくしました。

GLOEでは、eスポーツイベント制作を中心に、国内外でゲームを通じたコミュニケーションを活性化するサービスを展開しています。ゲーム・eスポーツ関連のサービスやイベントを検討中の方は、お気軽にご相談ください。
https://gloe.jp/contact/

「【前編】有志で始まったeスポーツプロジェクトが、eスポーツで社内コミュニケーションを活性化」はこちら 

関連リンク
・「AFTER 6 LEAGUE」:https://a6l.jp/
・「AFTER 6 LEAGUE」公式X:https://twitter.com/After6League
・「AFTER 6 LEAGUE」公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCISk1mypsJK_fSwwN9-vBDQ
・TOPPANグループeスポーツ部「E1 HEROES」公式X:https://twitter.com/TOPPAN_E1HEROES
・TOPPANグループ全社イベント「TOPPA!!!TOPPAN FESTIVAL2024」ダイジェストムービー(short ver.):https://www.youtube.com/watch?v=W2zjCSm8G6k
・TOPPANグループ全社イベント「TOPPA!!!TOPPAN FESTIVAL2024」ダイジェストムービー(long ver.):https://www.youtube.com/watch?v=mGmmaIgAN2c

取材・筆:GLOE株式会社 広報室 広報室長 金田裕理